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【漫画レビュー】「と、ある日のすごくふしぎ」宮崎夏次系著

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「と、ある日のすごくふしぎ」宮崎夏次系著 表紙

私が宮崎夏次系の初単行本「変身のニュース」を読んで度肝を抜かれたのは、もう9年前になります。そこからずっと好きなのですが、私の周りに宮崎夏次系という漫画家を知っている人はいません。(現在進行形)


「宮崎夏次系の初の続きものの単行本がでてね、『培養肉くん』っていうんだけど…」

と語りだすや否や、妹はおぞましいものを見るような顔をして
「なにそれ?あんまり大きな声で言わないほうがいいよ」と言う始末…。

 

あんなにヴィレッジヴァンガードに平積みされて「この漫画がスゴイ」的な賞にランクインしてるのに、どうして私の周りには宮崎夏次系を読んだことがない人ばかりなのだろう…人生を損をしているぞ。

 

さて!愚痴を言ってしまいましたが、今回の新刊も新しい宮崎夏次系を知れた気がするので、さっそく感想レビューを始めたいと思います(^^)♪


もし宮崎夏次系という漫画家を初めて知った方や、気になっていたけどまだ読んでいない方は、今回の新刊『と、ある日のすごくふしぎ』が読みやすくておススメです☆彡

ページ最後にリンクも貼っておきますので、よかったらご参考くださいませ~♪

 

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漫画レビュー「と、ある日のすごくふしぎ」宮崎夏次系著

 

◇ひとことコメント

本作も最高。後味の悪い作品はひとつもありません。SF雑誌での連載や続き物の「培養肉くん」を経たためか、今までに比べてマンガ的表現が増えた気がします。

 

◇項目別レビュー

面白い:★★★★★
また読みたい:★★★★★
人に薦めたい:★★★★★

 

僭越ながらわかりやすくするためにつけさせていただきました…!
あくまで個人の感じ方ですのであしからずm(__)m

 ※「漫画」「マンガ」の二種類の表現を使用しておりますが、別個の意味があるわけではありません。統一されていなくて申し訳ありませんm(__)m

 

◇良かった点

短編なのに、読後感はサイコー!
まずはじめに、「と、ある日のすごくふしぎ」は短編集の漫画です。どれも10ページほどの短編ですが、お話がまとまっていて読みやすいです。

 

多すぎず少なすぎずの絶妙なページ数で、ここまで読後感のいい短編を量産できるのは、宮崎夏次系ならではの才能ではないかと思います。

 

移動時間や昼休みなど、スキマ時間の読書におススメです!

 

進化する、宮崎夏次系の表現

宮崎夏次系作品の持ち味は、そのシュールな絵柄と不安定な世界観だと思っています。そして、そんなルックスをしているマンガなのに、読んでみると哲学要素がこんもり詰まっている。そんなびっくり箱のような作品を描き上げる漫画家なのです。


初期作品では、世界観を引き立たせるような、直線で四角く囲むコマ割りでした。

その四角い枠からにじみ出る不安定な世界観を楽しめるのですが、「なくてもよくて絶え間なくひかる」(単行本 2018年発売)あたりから、ぶち抜きコマやキャラクターの感情によって線画のタッチを変えるなど、初期作品には見られない表現が増えてきました。

 

いままでは、直線の枠のなかに細く強弱の少ない線で描かれた背景とキャラクターで埋め尽くされていました。そこからひしめき出す、キャラクターの不安定な感情や、哲学を感じさせる壮大なストーリーを楽しむことができます。


このように、見ためと内容とのギャップが、びっくり箱のような驚きをもたらしていました。(ちなみに、初期作品を読んでる最中は強烈なトリップ感を楽しめます(笑))

 

そして最近の作品では、キャラクターの感情に合わせてあえてガサガサした線画にしてみたり、ぶち抜きコマを効果的に使ったりしています。これにより、初期作品のびっくり箱要素が失われたかと言われたらそうではなく、むしろ進化していると感じます。

 

理由は、内容に合わせて見ために変化を付けたことにより、作品の内容がダイレクトに脳内に伝わるようになったと感じるからです。

 

そして、読み取るのが難しい不安定なキャラクターの心情も、読んでるうちに自然と感情移入できるようになるのです。

 

つまり、初期作品こそ”知る人ぞ知る名作”的存在だった宮崎夏次系ですが、視覚的に伝わりやすい「漫画的表現」を取り入れたことにより、もっといろんな人が楽しめる作品に進化したのではないかと思うのです。

 

私のようなこじらせたオタクだけじゃなく、今以上に幅広い世代の方に読んでいただけるかもしれません。

 

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躍動感のあるコマ割り(本編より抜粋)

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大胆な見開き構成(本編より抜粋)

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右が感情爆発Ver,左が通常Ver(本編より抜粋)

洗練された白~グレー~黒の画面作り

宮崎夏次系は、白と黒の漫画構成がバツグンにうまいなと思っています。

絵の技量のはなしではなくて、モノトーンでコマ内の情景を伝える力があるということです。

 

絵を描く人ならわかると思うのですが、たとえばデッサンをするとき、どこからが黒でどこからが白なのか、表現するのは難しいものです。


私たちの目は光の三原色により、脳内で認識する映像はカラー映像です。それをあえて白と黒の濃淡に落とし込むのって、簡単なようでいて実はとてもセンスが必要なんですね。

 

こと漫画となると、そのセンスの力量の差は大きいのです。
「漫画」という表現方法は、ルールがありません。たとえば、青空を黒でぬっても白で表現してもいいのです。もちろんグレーだってかまわないのです。

 

重要なのはここからで、「ストーリーやキャラクターの心情が伝わる青空にするには、どう演出するか」がポイントなのです。黒い青空をもってくるのと白い青空を持ってくるのでは印象が異なりますよね。


要は、この白と黒の使いどころが、宮崎夏次系ははちゃめちゃに上手なんです。

個人的感想ですが、漫画の神様と言われている手塚治虫を彷彿させますね…。

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鳴り響く電子音とシルエットが緊張感のある一コマ(本編より抜粋)

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少女を覆う影と謎のセリフで不穏さが増している(本編より抜粋)

以上のことから、昔からファンの方も宮崎夏次系の新たな一面を楽しめますし、初めて読む方は抵抗なく楽しめると思います。冒頭にもお伝えしましたが、初めての宮崎夏次系にはぴったりの一冊かともいます。


そして長々と語ってしまった「漫画表現の無限大さ」についてはいつか自分なりにまとめたいと思っています~m(__)m

 

変わらない、宮崎夏次系らしさ

初期作品と比較して、新たな進化についてを力説しましたが、もちろん宮崎夏次系らしさは健在です。


星の王子様の挿絵のようなタッチなのに、読んでいくと哲学やSF要素がてんこ盛りでうならされます。そしてキャラクターの感情がみずみずしい!しかも強烈に心に刺さる!(宮崎夏次系ファンの方なら、きっとわかる感覚なはず…!)

 

デビュー10年とのことですが、ずっと変わらない”らしさ”と進化していく”作品力”を感じられる一冊でした。

 

◇残念な点

すでにお分かりかと思いますがありません(笑)本作も最高、満点!

 

◇こんなひとにおススメ

全人類におススメしたいところですが、ここはまだ宮崎夏次系を読んだことのない方向けに、入門書としておすすめいたします!

初期作品は、考えさせられたり解釈に悩むようなものもありますが、こちらは読み終わったとの爽快感がすさまじいので、自信をもってどなた様にもお勧めできる一冊です!
(でも初期作品もとっても良いから読んでほしいな…)

 

◇まとめ

本当に、宮崎夏次系という漫画家に出会えてよかったなと思っています。
本作でまさかこんなにも爽快な読後感を味わえるとは思っていませんでした。
そういった意味で、まだ宮崎夏次系流のびっくり箱スタイルは続いているのかもしれませんね(笑)

こんな拙い言葉で語ってしまいましたが、宮崎夏次系「と、ある日のすごくふしぎ」の魅力が少しでも伝わったら嬉しいです。


宮崎夏次系については近いうちにまた語りたいと思いますので、もし同志がいらっしゃいましたらぜひよしなに~(^^)

 

余談ですが、いつか「漫画の魅力」を自分なりに文字にしてまとめておきたいな~~~と思っています、わなかなか取り組めてないのですが…(^^;)漫画って奥が深いですね~~~☆彡;*。+


それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました!
よければ読者登録やいいね!を押していただけたら嬉しいです(^^*)

それでは今日はこの辺で~


と、ある日のすごくふしぎ 著者 宮崎 夏次系


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